【資料】ありがとう = 職場過半数代表者選挙をたたかって =

2015/10/01

【もくじ】

→ 私たちの要求
→ 皆様ほんとうにありがとうございました
→ 本文 「おかしいぞ」??ではじまった
→ 選挙したのに、また「挙手による」ととどけたのは??

 JR東日本の下請け会社、JR東日本ステーションサービス(JESS)東京駅営業所で、2015年6月から7月にかけて闘われた、労働基準法上の「職場過半数代表者」選挙の中で配布されたパンフレット(Web版)を資料として公開します。
 国労東京駅分会JESS班が作成したパンフレットを職場に配布することを、営業所は処分の脅しで禁止しました。

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私たちの要求

 ・ 法律にもとづき、職場の過半数代表者は選挙で選ぼう!
 ・ 「繁忙手当」をJESS東京駅営業所の全員に支給しよう!

    東京駅収入の40%を稼ぐ労働にふさわしい待遇を!
    JESSプロパーの仲間にも定期昇給とベースアップを!
    パートの仲間の待遇改善を!
 ・ 増加した業務に対応する十分な要員を配置しよう!
 ・ 安全衛生委員会を、健康を守る本来の場にしよう!

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皆様ほんとうにありがとうございました

職場過半数代表者候補 ◯◯◯

 去年から、36協定の過半数代表者選出に疑問があり、どのように選出したのか調査したところ、営業所側が一方的に選んだ者に印監を押すよう頼んで、内々でやっていたことが判明したので、国労東京駅分会執行委員会とJESSの国労組合員で営業所への申し入れを行いました。最初、営業所は話し合いを拒んでいましたが、上部機関と相談するということになり選挙が行われました。
 選挙では、東京駅の労働密度が濃いにもかかわらず手当てもない。閑散線区で働いている人のほうが手当が大きい?という矛盾の解消、5年間昇給なしなど、劣悪な労働条件改善の要求を掲げて闘いましたが職場代表になれなかったのは残念です。しかし、この2回の選挙で職場は不平不満だらけだということが証明されたのではないでしょうか。
 点呼であれだけ◯◯◯が非難されたのに、大勢の皆さんが◯◯◯に投票してくださいました。「36協定に関係ないことを書いている」とか「出向者はいらない」などの発言が飛び交うなかでも支援してくださった皆様に感謝いたします。ありがとうございました。
 管区制への意見では、新しい代表者が、会社の指名した前の代表と同じように「特に意見なし」という意見を労働基準監督署に提出していることは残念です。
皆様、ほんとうにありがとうございました。

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「おかしいぞ」?? ではじまった。

 昨年(2014年)秋、内勤室に張ってある「時間外労働に関する協定届」を見て、一人の国労組合員が変なことに気づきました。JESS東京駅営業所のように、労働者の過半数が加入する労働組合のない事業所では、就業規則で決められた労働時間を超えて時間外労働を命ずるには、そこで働く労働者が「過半数代表者」を選び、その代表者と協定を結ぶ必要があります。
「おかしいぞ」?? 過半数を代表する者の選出方法は、「挙手による」となっていて、代表者の名が書いてあるのですが、「俺たちは手を上げてこの人に決めたこと、ないよなあ?」
「会社が勝手に俺たちの代表者を決めてるんじゃないのか?」
 調べてみると、私たちが選ぶことになっている「過半数代表者」を会社が一方的に指名していることがわかりました。

 これは明白な労働基準法違反でした。

 労働者の働き方を定めた労働基準法(以下、労基法)は、労働条件を使用者(経営者)が一方的に決めることを制限しています。過半数が加入する労働組合がある場合には組合が、ない場合には、そこで働く労働者が選んだ「過半数代表者」が、職場の様々な運営に参加することになっていて、就業規則で決めた労働時間を超えて時間外労働を命ずる場合、結ぶことの必要な協定(36協定)の締結や、安全衛生委員会の労働者側委員の推薦などがあります。

 日頃、「コンプライアンス重視」を表明している会社が、労働基準法違反という重大なコンプライアンス違反を犯していました。

 国労東京駅分会とJESS班は本年(2015年)5月19日、東京駅営業所長に対して、明らかな労基法違反を改めるため、速やかに「職場の過半数代表」の選出をやり直すことなどを求める申し入れを行いました。

惜しかったなあ。(選挙結果分析)

 私たちの申し入れに対して、営業所は「真撃に受け止め、代表者の選出を改めて行う事としました」と表明して、選挙が行われました。6月に1回目の選挙、7月に2回目の選挙が行われて新しい「過半数代表者」が決まりました。選挙では会社側からさまざまな介入があり、大変問題のある選挙になってしまいましたが、私たちはまず、これまでの労基法違反の状態を改めて、まがりなりにも法律に基づく選挙が行われたことは大きな前進だと考えています。

1回目の選挙結果(6月23日開票) 過半数 136
◯◯◯  134
Aさん  128
白4 無効3 棄権2  計271

2回目の選挙結果(7月13日開票) 過半数 137
Bさん  139
◯◯◯  125
白5 無効2 棄権1 計272

 ふつうの選挙とちがい、労基法の「職場の過半数代表者」を選ぶ選挙では、「全有権者の過半数」を獲得する必要があります。◯◯◯候補は1回目の選挙でAさんを上回りましたが、過半数にわずか2票足りませんでした。2回目の選挙で勝利したBさんは過半数をわずか2票上回りました。
 1回目の選挙で◯◯◯候補が勝利する可能性は十分ありました。2回目の選挙でもBさんの過半数獲得をはばむ可能性も十分ありました。◯◯◯候補は、基礎票である国労組合員数の2倍以上の票を獲得しました。本当に惜しかったなあ!! 大変惜しい、大変悔しい結果ですが、本来は介入してはならない会社側が、さまざまな介入を行った中で私たちは大健闘したと思います。

労使が協力して、平穏に選挙が行われるはずだった

 私たちが会社に申し入れたのは、「法律にしたがって、労働者代表を選挙で選んでください」という、それだけのことでした。私たちは、労使が協力して選挙を行い、平穏に代表が決まると思っていました。しかし、会社が一方の候補に肩入れしたため、労働者どうしで争われるはずの選挙は、会社と労働者の力だめしになってしまいました。1回目、◯◯◯がAさんを破ったため、2回目の選挙戦で会社側は、営業所長が連日の点呼で◯◯◯陣営を非難し、◯◯◯のチラシ配布に介入するなど露骨な選挙介入を行いました。
 労働者代表を会社が一方的に指名するのは労基法違反ですが、過半数代表選挙に会社が介入するのも労基法違反です。日ごろ「コンプライアンス遵守」を唱えている会社が、今回の選挙を通じて重大なコンプライアンス違反を繰り返したことを、私たちは厳しく非難します。
 1度目のA陣営、2度目のB陣営の支持者から会社に対して、私たちのチラシ配布をやめさせるよう通報があり、会社はそれを口実に配布をやめさせようとしましたが、禁止できませんでした。A陣営、B陣営の支持者が会社側に、労働者としての当然の権利を押さえつけるよう求めたことは、労働者として自殺行為であり大変残念です。
 私たちは、「会社が過半数代表を一方的に指名するのは法律違反」、「自由で公正な選挙で、職場の労働者自身が自分たちの代表を選ぼう」、「東京駅収入の40%を稼ぐ厳しい労働にふさわしい待遇を。東京駅営業所の全員に繁忙手当を」、「必要要員の確保」「安全衛生委員会の改革」などを掲げて選挙戦を闘いました。
 私たちの主張に対して、会社側が「◯◯◯は36協定と関係ないこと、できるはずのないことを主張している」「代表者はプロパーがふさわしい」と宣伝したことに対して、私たちは具体的な反論を書いたチラシで対抗しましたが、点呼での◯◯◯陣営非難に対しては、投票期間中に抗議できなかったことは残念です。(投票終了後、開票前に書面で抗議の申し入れを行いました。)

労基署への申告。労基署から是正勧告書、指導票の交付

 私たちの「現状は法律違反」という申し入れを「謙虚に受け止め」て、会社は選挙を行いましたが、奇妙なことに、「現状は法律違反ではない」という考えは変えませんでした。これはまったく認めがたいものでした。会社が、7月1日の就業規則変更にあたり、一方的に指名したA氏の「意見書」を添付して労基署に届ける姿勢を変えないため、6月30日、私たちはやむなく、中央労働基準監督署(労基署)に対して東京駅営業所の労働基準法違反を申告しました。
 労基署は私たちの申告を受理し、7月3日、監督官が東京駅営業所を調査のために訪れました。7月6日、中央労働基準監督署に出向いた営業所側に対して、労働基準法違反を指摘する是正勧告書と指導票が交付されました。

 7月6日交付された是正勧告書と指導票の内容

職場の過半数代表者選出が法律に従って行われておらず、3月19日に届け出た時間外労働・休日労働に関する協定届と6月26日に届け出た就業規則の変更届は無効であり、労働基準法32条と90条に違反している。
職場の過半数代表者の選出を、民主的に正しく行うこと。

 今回も、「挙手による」と届け出たのはなぜ??

 7月16日、東京駅営業所は中央労働基準監督署に社長名の是正報告書(7月15日付)を持参して説明し、受理されました。
 その際、新たな時間外労働・休日労働に関する協定届(7月14日付)、就業規則への意見書(7月14日付)でも、代表者の選出が「挙手による」とされていることに対して、監督官が、選挙を行ったのではないか? 「挙手による」でいいのかと質問したことに対して、営業所側は「点呼時に挙手で決めた」と説明しました。 (えー? そんなことあったかな? なかったよな? おかしいぞ? 最終頁参照)

働きやすい職場、働いてよかったと思える職場にするために

 JESSは2,000人を超える大企業になりました。次々と駅業務を受託して、閑散線区中心の会社から、JR東日本の顔と言える東京駅新幹線乗換口など、JR東日本の収入の大きな部分を扱うまでになっています。しかし、そこで働く労働者の待遇は、それにふさわしいものでしょうか?

 JESSプロパーと、出向者、エルダー社員のあいだにある格差

・年末年始手当

JR本体には年末年始手当がありますが、JESSプロパーの仲間やパートの仲間が年末年始に働いても手当はつきません。一緒に働いている出向者やエルダー社員に手当がつくにもかかわらず…。

・特殊勤務手当

徹夜勤務など、からだに負担の大きい変形勤務の場合、JR本体には特殊勤務手当がありますがJESSにはありません。一緒に働いても一方だけに手当がつきます。

・都市手当

出向者やエルダーの場合、東京駅で働くと、一番低い地区に比べて、超過勤務や一時金にも反映される基準内賃金が15パーセント高くなりますが、JESSには都市手当がないため、どこで働いても同じです。若い社員でも体調を崩すほど忙しい東京駅で働いても、忙しくない駅で働いても同じ賃金では、自信と誇りを持って働くことなどできません。

東京駅で働く全員に繁忙手当を!という要求は、みんなの要求、当然の要求ではないでしょうか?

 このような理屈に合わない格差をなくし、皆が働いてよかったと思える職場、働きやすい職場をつくるためには、会社と対等な立場で、働く者の意見を表明することのできる労働組合を、JESSの中につくることが必要です。そして、職場の過半数代表者を、私たちの手で、私たち自身が選挙で選ぶことは、働く者の意見を会社の運営に反映させていくための第一歩だと思います。

 安全衛生委員会

 昨年末インフルエンザが発生した際、「仕事が回らない」と言われて、熱が下がったばかりの者が多数出勤させられたため、さらに拡大してしまった問題はきちんと反省されていません。最近も、熱が出て休んだ仲間が、次の日にはもう出勤をもとめられ、熱の下がらないまま出勤したものの途中で退社するという事がありました。
 安全衛生委員会が本来の役割を十分果たすために、私たちは◯◯◯の推薦する者を安全衛生委員会の労働者側委員に補充することを求めています。

 プロパー、パート、出向者、エルダーは、みんなで手をつないで頑張ろう

 中乗の委託に際してJR本体では、本人の意向は無視されて何回も面談が繰り返され、問答無用の強制的な出向が発令されました。辞令を渡されて泣いていた若者もいました。また、年齢を考慮して職場が指定されるはずのエルダー社員を「日本一忙しい出札」に発令するのは、労働問題というよりも、もはや人権問題ではないでしょうか。
 今回触れることのできなかったパートの仲間も含めて、みな困難と苦しみをかかえてがんばっています。
 国労東京駅分会JESS班は、今回の職場過半数代表者選挙で受けた、皆様からのご支援に心から感謝するとともに、これからもみんなで仲よく、手をつないでがんばっていこうとおもいます。
 皆様、ほんとうにありがとうございました。

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【付記】 選挙したのに、また「挙手による」と届けたのは??

 現在私たちは、会社はこれまでのコンプライアンス違反を反省してないのではないか…という疑問を持っています。労働基準監督署に、今回の代表者決定も「挙手よる」??と届けているからです。
 届け出の際、労基署側が、選挙ではないのか、「挙手による」でいいのか? と聞いたのに対して、営業所側は、「点呼の場で挙手で決めた」という意味のことを答えたそうですね。私たちの質問に対して、労基署の監督官は「選挙で選んだら、当然『選挙による』と書く必要がある」と答えました。
 以前、労基署に対して営業所は、「『挙手による』と届けたのは会社のマニュアルによる」と答えていますね。そこで営業所に聞きたいのですが、選挙したのに今回も「挙手による」と届けたのは、東京駅営業所だけがマニュアルと違い「選挙による」と届けたくなかったからではないですか? もしもそうならおかしいですね。本来は、会社が一方的に代表を指名しているすべての職場で選挙が行われ、法律違反を助長しているマニュアルの方が変えられるべきなのです。現に、法律を守って会社が率先して選挙を行っている関連会社もあるのですから。
 来年(2016年)3月、JESSの職場では一斉に36協定の改定を迎えます。JESSは今回、社長名の是正報告書で、今後は法律を守るという考え方を表明しましたね。来年3月、JESSが会社全体で法律を守るかどうか、もちろん、東京駅営業所でも法律にしたがって代表者が決められるかどうか、私たちは厳しく見守っていきたいと思います。

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【発行・国鉄労働組合東京駅分会JESS班】