しばらくは激しく心が揺さぶられそう

2017/10

武部 伸一
https://www.facebook.com/shinichi.takebe.9


 千葉在住だった高校生時代に三里塚闘争と出会いった武部伸一さんが facebook にお書きになった文章を「窓」で公開することを許可してくださいました。大変ありがとうございます。 あの時代、たくさんの高校生が(まれには中学生も)社会運動に参加してきたのですが、武部さんも私もその一人でした。


「三里塚のイカロス」を見た。
事前の予測通り、スクリーンを前にしながら自分の過去と向き合う138分となった。
・何人もの登場人物の中で、最も心に響いたのは、やはり、支援党派から反対同盟農家へ嫁いだ3名の女性へのインタビュー。特に、かつて中核派の活動家であり、移転に応じた加藤清さんと結婚した加藤秀子さんは、この映画に登場し、語ること自体が大変な決意であったと思う。彼女が穏やかに語る声、表情自体が、中核派の路線そのものへの根源的な疑問、批判になっていると思うから。
・映画は、中核派の元三里塚担当政治局員であった岸宏一氏へのインタビューで終わる。この事に違和感を持つ、あるいは批判的な感想を持つ、かつてのお仲間もいらっしゃるようです。私は、このエンディングもまた、ありかな、と思っています。それは、三里塚闘争に人々を最大動員してきた急進左翼党派が中核派であることは間違いない事実であり、そして、その事実が、反対同盟の3.8分裂を引き起こし、我々へのテロ襲撃をもたらした要因でもあるのだから。
確かに岸氏が「もう、それを問題にしてもしょうがない」と話しているのを平静に聞くことはできない。しかし、映画の最後に岸氏が語る「(中核派の)三里塚の失敗」が「そこの問題」にあったことを、映画を見る者には明確に気付かせることになっていると思います。
・中川さん、平田さん、吉田さん、の3人のインタビューにも思うところは多々あるのだけれど、それはまた飲んだ席などで。ただ、お三方の明るい語りが、もしかしたらえらく暗い映画になってしまう可能性があったのを防いでいるなあ、と感じております。
・自分が確かにいた場所、過ごした時間を描いた映画であること、その映画を見たことで、しばらくは激しく心が揺さぶられそうです。かつてのお仲間と、飲みながら語りたい、と強く感じております。お誘い歓迎します。


 映画「三里塚のイカロス」公式サイト  http://www.moviola.jp/sanrizuka_icarus/